地球温暖化対策のために、さまざまな取組みがなされています。
パッケージの簡素化やゴミの分別、リサイクルといったように、ゴミを減らす工夫はさまざまです。
今回はゴミ削減に向けた取組みのなかで、まだあまり知られていない「アップサイクル」について解説します。
企業が取り組むアップサイクルのほか、私たちが取り組めるものも紹介します。地球に優しいことを始めてみたいと考えている人は、ぜひ参考にしてみてください。
アップサイクルとは

アップサイクルとは、元の製品に新たな付加価値をもたせて製品化することを指します。
着なくなった着物生地で作られたバッグや、解体された廃材で作られた家具などがアップサイクル品にあたります。
製品の良さや原型を大きく変えずに作るため、低コストかつ低エネルギーで再生利用できるのが特徴です。
有名人も多くアップサイクルに参画するなど、地球に優しい取組みとして今注目を集めています。
アップサイクルが注目される理由

アップサイクルが注目されるようになった背景には、先進国を中心にすすむ大量生産、大量消費の問題があります。
中でもファストファッションの流行で大量消費されるようになった衣料や、売れ残りの衣料問題など、ファッション産業において廃棄が深刻な問題となっています。
洋服は表地、裏地、ボタンやファスナーといったように、1枚をとってみても多くの素材を組み合わせて作られるものです。それぞれの素材の製造はグローバルに分業化されており、各製造過程でCO2排出や水を消費し、環境に多くの負荷を与えています。
また海洋ゴミの約65%を占めるプラスチック製品や、年間523万トンも廃棄されている食品ロス問題にも、アップサイクルを取り入れた改善が取り入れられています。
アップサイクルとリサイクルの違い

アップサイクルは元の製品をそのまま生かすのに対して、リサイクルは廃棄されるものの中から使えるものを取り出して原料や材料として再利用する方法を指します。
たとえば牛乳パックにアレンジを加えて、収納ケースとして利用するのがアップサイクルです。
一方で回収されて一度紙の材料に形を戻してから、トイレットペーパーやコピー用紙などに作り変えるのがリサイクルにあたります。
アップサイクルのメリット

ゴミを減らす取組みとして以前より推奨されてきたリサイクル。しかし、原料にもどすために燃料や水などのエネルギー資源を多く必要とするデメリット面が問題視されてきました。
「アップサイクル」は「リサイクル」が抱えるデメリット面をカバーできるメリットがあります。少ないエネルギー消費に加えて、コストも抑えられます。
またSDGsに関心の高い層からの支持を得られるなど、企業や地域のイメージアップにも良いでしょう。
ただアップサイクルはあくまで廃棄物があるという前提であり、アップサイクルされて再利用されてもいずれは廃棄物となります。
廃棄ではなく自然に戻す「持続可能な消費」がSDGsの最終目標であることを忘れてはなりません。
アップサイクルの反対語「ダウンサイクル」とは?

ダウンサイクルはアップサイクルと同じく新たな価値をもたらすものですが、アップサイクルと異なり、元の製品より価値を落とした再利用方法を指します。
新聞紙を油吸収のために使ったり、使い古したタオルを雑巾として使ったりするのがダウンサイクルにあたります。
廃棄する前に再利用するもので、アップサイクルより持続可能性が低い再利用方法です。
アップサイクルとSDGs

アップサイクルの取組みは、SDGsが掲げる目標の12「つくる責任、つかう責任ーすべての人の意識と行動をシフト」 に該当します。
SDGsの目標12は、大量生産、大量消費が招く課題を解決するために定められたものです。
目標12の2に掲げられた「天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用を2023年までに達成する」ために、アップサイクルは企業だけでなく、個人でも取り組めるSDGsです。
衣料品や日用品の購入、消費スタイルの見直し、食品ロスを出さない工夫なども意識していきましょう。
企業が取り組むアップサイクル

出典:Helloyon(ハロヨン) | cosmenoippo(コスメノイッポ)|役目を終えたカラーコスメから生まれたクレヨン
多くの企業がSDGsへの参画を表明するなど、アップサイクルに取り組む企業が増えてきています。
鉄道会社とスタートアップ、全国の福祉施設との連携で行われた、アップサイクルの取組みです。障害のあるアーティストの芸術活動の支援と所得向上に貢献したとして、環境大臣賞を受賞したアップサイクル作品です。
焼却時にダイオキシンが発生する塩化ビニールシートではなく、再利用可能な防水シートに知的障害をもつアーティストが描き、屋外に展示。展示期間を終えたシートはトートバッグへと形を変え、販売されました。
美容業界のゴミゼロを目指す「COSME no IPPO」では家庭で眠っているカラーコスメを回収し、カラークレヨンへとアップサイクルする取組みを行っています。
さまざまなカラーコスメを混ぜて生まれるクレヨンのカラーは唯一無二の色。
商品パッケージにも「箱ごとにクレヨンのカラーが違います。」と記載されており、箱を開けるワクワク感と世界にひとつのカラーという限定感が魅力的な商品です。
同社では不要なカラーコスメの回収を随時行っています(詳細はこちら)。
ほかにも規格外の野菜から作られたエコ石鹸や廃棄予定のエアバッグから作られたサコッシュなど、さまざまなものがアップサイクルによって生まれています。
個人でできるアップサイクル

アップサイクルには個人で可能なものもたくさんあります。
『みかんの皮』
動物性由来のガンコな油汚れも落とすと言われるリモネンは、みかんやレモン、グレープフルーツの皮に含まれる精油成分です。
みかんなど柑橘系の皮を煮出して、お掃除スプレーを作ります。また、皮を直接レンジ内に入れて温めると、精油が庫内に充満しガンコな汚れを落としやすくなります。
『特売の野菜や果物』
スーパーや八百屋さんで手に入れられる特売の野菜や果物。旬を過ぎたものや安く大量に手に入れた野菜は、カレーやスープで煮込むと美味しく食べられます。果物はコンポートやジャムにして殺菌した瓶に密閉処理しておくと、長く保管することが可能です。
『コーヒー豆』
ドリップコーヒーの豆は消臭効果に優れています。アンモニアの吸収率は活性炭の5倍もあるとも言われており、使用済みのおむつ入れやトイレなどにおすすめです。
そのほか臭いが発生しやすい靴箱や、冷蔵庫などの消臭剤として使用できます。濡れたままでも乾いた状態でも消臭効果は変わりませんが、湿気の多い箇所ではカビの発生に注意が必要です。
サンビーが取り組むSDGs

スタンプメーカー「サンビー」でも、さまざまなSDGsに取り組んでいます。
再生プラスチックをプラスチック重量の40%以上使用したものやインクが補充できるスタンプ台には「グリーン購入適合商品」、環境保全に役立つ商品には「エコマーク」といったように、エコラベルをつけて環境に配慮した商品がひと目でわかるようになっています。
また「伊勢ヒノキ」の間伐材を印鑑の印材に使用する取組みも始めました。
神社仏閣にも使われる格式高い木材「伊勢ヒノキ」は自然の厳しい木曽地域で育つため、密な年輪で強度に優れています。圧縮加工することでさらに強度を増し、耐久性のある印鑑に仕上げます。
天然素材ならではの、異なる木目や色合いも魅力です。
サンビーの環境商品はこちら
【まとめ】アップサイクルは地球に優しい新たな再利用方法

アップサイクルは元の製品に新たな付加価値を付けて、再利用する方法を指します。
一度資源に戻すのではなく原型を活かして再生するため、リサイクルと比べて環境負荷が少ないのが特長のひとつです。
アップサイクル品を購入したり、日常でできるアップサイクルに取り組んだりと、廃棄しない持続可能な消費を心がけていきましょう。