古印体とは?書体の違いや印鑑作製時の注意点を解説!

文字の書体はさまざまな種類があり、印鑑やネーム印を作るときにどの書体を選べば良いか迷ってしまいますよね。

今回はさまざまな書体の中から、古印体について深掘りしてみます。

古印体と他の書体との違いや、古印体で印鑑作製するときの注意点などについても解説しているので、ぜひ印鑑を作る際の参考にしてみてください。

古印体とは? 

古印体は大和古印の伝統を受け継ぎながら、隷書体をベースに作られた丸みのある書体です。

大和古印とは奈良・平安時代に日本で作られ使われた日本独自のもので、鋳造によって生じた線の切れ目や炭溜まりが特徴的です。官印として公文書などに使用されていました。

当時の印鑑技術では均一な線を描くことができず波打ったような字体になっていました。現在使われている古印体は、当時の古印体よりやや丸みを増した字体になっています。

古印体のサンプル

サンビーで作製する印鑑のサンプルイメージは以下のようなものです。

個人印の場合、一般的に右側に苗字、左側に名を入れます。文字の払い部分も留めの部分も太めです。

角印の場合、文字がつぶれないように丸みを帯びつつ、全体的に細めの線に仕上げます。古印体の特徴である線の切れ目や炭溜まりは少な目です。

役職印のような丸印になるとさらに1文字が小さくなりますが、古印体の特徴である解読しやすさは残しつつ小さな文字で外枠近くに文字を刻んでいきます。

片仮名や平仮名、特殊な文字でも作製可能です。※既製品価格外になる場合もあります

書体の歴史

ご存じのように漢字は中国から伝わったものですが、漢字や書体の歴史、そして書体ができた順番について簡単に解説します。

漢字の歴史と書体の種類

漢字は、紀元前15世紀ころに中国で生まれ、その後5〜6世紀頃に日本に伝わったと言われています。

主な書体は5種類あります。篆書(てんしょ)」「隷書(れいしょ)」「草書(そうしょ)」「行書(ぎょうしょ)」「楷書(かいしょ)です。

上記5種類の書体は中国から伝わったもので、古印体は含まれません。古印体は先にも紹介したように、日本独自の書体です。

書体ができた順番

中国から伝わった5種類の書体ですが、日常生活で篆書体や隷書体を使用する中で早く書けるように、下記の流れで草書体や行書体が生まれたと言われています。

篆書体(てんしょたい)→隷書体(れいしょたい)→草書体(そうしょたい)→行書体(ぎょうしょたい)→楷書体(かいしょたい)

尚、楷書が生まれたのは4〜5世紀の初め頃です。

ちなみに正式な書体は篆書体や隷書体、日常使いの書体が草書体や行書体とされています。

古印体は怖い?どんなときに使用する?

古印体の書体はホラー感があって怖いと言われることもあります。

しかし、現代出回っている古印体は本来の古印体に比べると途切れも少なく、可愛いという声もしばしば聞かれます。実際、商品のパッケージの書体に採用されることも。

また古印体は、風格があって力強いという特徴もある書体です。風格豊かで独特な特徴がある古印体は、石刻や古代の銘文にも使用されており、現代の書道やデザインにも影響を与えています。

印鑑では、判読のしやすさから「認印」やシャチハタ印などとも呼ばれる「浸透印」にも採用されており、日常的に使用されている書体です。

古印体は複製しやすい?しにくい?

古印体は篆書体や隷書体に比べると複製しやすい書体です。しかし楷書体よりは複製しにくく、解読できる文字を好む人に人気があります。

実際サンビーでは、印鑑に使用する書体で3番目に人気です。個人的には女性には楷書体、男性には古印体がおすすめです。

古印体で実印作製は可能?

古印体で実印作製は可能です。

実印には複製されにくい篆書体や隷書体がおすすめされることが多いですが、古印体が良くないというわけではありません。

実際のところ印鑑に選ぶ書体は好みです。先にも触れたように、社印である角印や役職印でも解読できる書体を好み古印体で作製される人もいます。

古印体のメリット

太さと丸みが特徴的な古印体は余白部分が少ないため、破損しにくいというメリットがあります。

また楷書に比べると複製しにくく、篆書体や隷書体より解読できる書体であるというのもメリットのひとつでしょう。

彫っている部分が少なく、印面の枠線に設置している部分もあるため、欠けにくい書体と言われています。

古印体で印鑑を作成するときの注意点

古印体は比較的欠けにくい書体ですが、部分的に細くなっている部分もあるためできれば、チタンや象牙など欠けにくい素材を選ぶことをおすすめします。

また線に太さがあるため、画数が多い文字は少しつぶれてしまう可能性があります。画数が多い名前の人は、印鑑作成時に注意が必要です。

【まとめ】古印体は日本独自の書体で太く丸みのある字体が特徴的

漢字は中国から伝わり、篆書体や隷書体など主な書体は中国由来のものです。

しかし古印体は隷書体をベースに作られた日本独自の書体で、大和古印の伝統を受け継いで生まれました。

線の切れ目や炭溜まり、そして太く丸みのある字体が特徴的です。

認印によく使用される書体ですが、楷書体に比べると複製しにくいことから実印に使用されることもあります。

サンビーでは、古印体を使用した印鑑やネーム印も製作可能です。